【続】君の声がききたい
他人事のように言う母親の言葉には、俺をさりげなく心配している感情があることがわかった。





「…わかったよ」



正直助かった。


進路なんて、なんにも決めてなかったし…

その親父の社長さん?の会社に勤めるって、まだ決めたわけじゃないけど…


とりあえず、将来の扉が少し開いたのかな…?

多分…




「その会社の住所は…」


お母さんが、社長さんの会社の住所を教えてくれる。


老眼鏡をかけて、名刺に書いてある住所を読んでいるお母さんの姿がリアルに想像できた。

そしてそんなお母さんの隣で、ビールを飲みながらテレビを眺め、俺らの会話を聞いている親父の姿も…
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