ハルク
「調子悪いなら保健室とかで休む?」

私の顔を覗き込むはるくの顔。

また心配させてちゃった…軽い自己嫌悪。

はるくを笑顔にしたくて私は声を上げる。

「大丈夫!」

大丈夫に見える顔を作った。
口の両端を上げて「笑顔」の表情。

大丈夫。きっと、私は笑っている。

はるくは少しの間を置いて、にこっと穏やかな顔を作って笑った。

途端、私は泣きそうになる。

はるくが笑えば私は笑顔になる。
私が笑いかけたら、はるくも笑い返してくれる。

それだけなのに、それだけがどうして難しい。上手にいかないんだろう。

もし私が笑顔じゃなくても、はるくにはずっと笑顔でいてほしい。
それだけのために私は頑張れる。

泣きたくなったのはそういうこと。

「今は」、そういうことにしておいてほしい。

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