ハルク


「ねぇどうして……、安美の名前を知ってるの?」

心のモヤモヤをはるくにぶつけてみる。

「私、はるくに安美の話、してないよねぇ?」

はるくはきょとんとした顔になってから慌てて「あれ?聞いてなかったっけ?」と言った。

私が「言ってない」という顔をすると困った顔になった。

「うん…百香ちゃんからすっかり聞いた気になってた…」

独り言のように呟く。
そしてこう続けた。

「俺が人の心を聞くことができるっていう話、前に百香ちゃんにしたよね?」

あのパチンコ屋の裏ではるくが泣いた。それを思い出していた。

「…うん」

信じていないけど。と心の中で続けたけれど、はるくは真剣な顔で話始めた。
私は黙ってはるくの話を聞くことにした。
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