ハルク
春ハ来ル2
女子高生というだけで飛び付く男の人がいるとは知っていたけど、本当にそんな人と会うことになるなんて。
紙袋に制服を忍ばせて、家から1時間かかるこのあたりで一番の大きい町に行くため、電車に揺られている。
『その人ねー、制服が好きなんだって』
電車が鉄橋の上を渡ると窓の外の景色は開けて一変する。
『さすがに制服で会うのはまずいから、あっちに着いたら着替えてほしいって』
ニヤニヤと笑う安美の口元を想像する。
臭い。
何かが腐った臭い。
安美が喋る度に、笑う度に、憐れみを含んだ微笑みを浮かべる度に。
全身から腐敗臭が漂う。
臭いにおいが全身に染み付いて消えない。