ハルク
横の席を見ると男の子たちが、騒いでいる。
私をチラッと見て目が合ったけどそれも一瞬で、自分たちの話に戻っていった。
寂しいような、ほっとしたような。

話し掛けられてもなんて返したらいいかわからないし…と、自分の心に言い訳をする。

ひとまず、鞄の中身を出そうと思って、机の上にノートと筆箱を取り出した。

ノートは前の学校で使っていたのと同じ。コクヨの青いノート。

布製の筆箱の一面には、ビーズの刺繍で大きく「MOMO」と書いてある。

この学校に転校すると決まった時、仲の良かったグループの子たちがお別れの品としてプレゼントしてくれたもの。

白地にピンクのビーズで書いた「MOMO」の文字を指で撫でると、別れ際、泣いて肩を抱き合った思い出が浮かぶ。

『みんな元気かな……』

< 33 / 33 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

青いネクタイ

総文字数/7,536

恋愛(その他)6ページ

表紙を見る
校庭の真ん中で【超短編】

総文字数/634

恋愛(その他)1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop