ハルク
「は…?」

「間違ってたらごめんなさい。それは止めた方がいい」

嘘を言っている顔でもなく、私を騙そうと企んだりしてるわけでもない。
ただ単純に、真剣だ。

「何言ってるんですか」

相手にしちゃいけないとわかっていても、聞き返さずにいられなかった。

「僕を信じて。行っちゃ駄目だ」

「……」

グレーのパーカーに青色のジーンズ。
この人、どっかで見覚えあるよ。

「…あんたに関係ないでしょ」

「関係無くていい、でも行っちゃダメだ。絶対」

「は?あんたになんの権利があんの?」

段々、苛々しはじめた。

事情も知らないくせに。
私のことも、何も知らないくせに!

男の人はどきっと身構えた顔になって、言った。

「でも……君は笑ってないじゃないか。行く必要ないよ!」

「はぁ?余計意味わかんない」
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