杞憂きゆう〜ムダなことなどひとつもないね〜短編集
やっと街から雪が消えてきて
もうすぐ…
そこまで春が来ているみたいな空。
でも…
私の心は…
「 花乃!
もっとさぁ
あったかくなったら
二人で東京に行こうよ!
ゴールデンウィーク前にどうかな? 」
「 うーん…
そうだね…。 」
しぶってる私に
ニカニカ笑いながら
「 そっかぁ…
やっぱり彼氏とがいい?
四人にする? 」
「 四人? えっ? 」
「 実は
私にも彼氏できたんですわ!
うんとね、この人だよ。 」
私は
陽毬のスマホを覗きこんだ。
照れ笑いしている二人が初々しくて
私の心まであったかくなるような…
そっかぁ…
幸せな気持ちになるね。
そんか写真だった。
「 四人かぁ…
陽毬、ちょっと考えていいかな…。 」
「 うん、いいよ。
まだ3月だしね。 」
陽毬の
あのスマイルに
今の私は負けている。
宥くんと出会った頃の気持ちは
あのドキドキは正しかったのか、
わからなくなっている。
宥くんのこと好きなんだよねぇ…
うん、好きなんだけど…
なんか
うちの弟に思う好きと同じような気がしている。
自分で
自分が
わからなくなっている。