杞憂きゆう〜ムダなことなどひとつもないね〜短編集
さっきの陽毬の提案していた旅行
四人で行けたら…
このモヤモヤした気持ちが、
わかるのかもしれない。
「 花乃!
二人も楽しいけど
四人のがさ
もっともっと楽しいよね? 」
「 そうだね!! 」
「 花乃!
いつも二人でいても楽しいけど
四人のがさ
もっともっと楽しいよね? 」
「 そうだね!! 」
四人で同じ空間にいるけど、
二人でいる時と
あまりかわりなく…
二人の彼氏たちも
なんか仲良くなってて良かったと思うくらいで
「 ねぇ、花乃ちゃん!
陽毬と宥成くんって
前に会ったことある? 」
「 うん、二、三回くらいは…
でも、どうして? 」
「 オレ!
花乃ちゃんの彼氏だから許すけど
他の男と会話されるのイヤなんですよね!!
花乃ちゃんは平気なの?
ムカッとしない? 」
「 ムカッと?
うーん
別に平気なんだけど…。 」
そっかぁ
私…
平気なんだよね。
あの優しい微笑みで
他の女の子と
親しげに会話してても…。
これは
恋愛の好きじゃないかもしれない。
雨がぽつりぽつりと降ってきて
私のメガネにもあたりだした。
「 花乃!
この雨って
催花雨って言うんじゃない? 」
「 そうかも…。 」
春になるから
みんな咲きませんか?
って
呼びかけるような雨
私の心にも
今、目の前にいる
宥くんを自由にしてあげるべきか
この不安定な気持ちも
流せてしまえたら
きっと…
私と宥くんの
催花雨になるのかもしれない。
end