杞憂きゆう〜ムダなことなどひとつもないね〜短編集
[ ねえ、みいちゃん!
この雑誌の占いがさ
かなり当たるらしいよ。 ]
[ えっ、ホントに?
歩翔とのことみちゃおうかな?
でも、やっぱり、みたくないや。 ]
[ 私はみちゃう!
寛治とは…
ありゃぁ…みなきゃ良かった。 ]
二人はそのまま雑誌を閉じて本棚に戻した。
弥恵ちゃんの彼氏、
同じクラスの寛治くんは
私と中学から一緒。
二人が付き合いだしてから、
なんだかうらやましくって…
それで…
まっ、歩翔と出会ったんだけどね…。
[ 私はね
寛治が大好きなんだけどさ。
なんか空回りしてるんだ。 ]
[ 何かあったの? ]
[ 特にないんだけどね。 ]
そうなんだよね。
何があったわけでもないのに不安になるんだよね。
私は
一人電車にのり
すぐに歩翔にメールを書いた。
[ 歩翔、今大丈夫かな? ]
大丈夫なときにしか返信はないけど
いつも聞いてしまう。
歩翔のジャマはしたくないし、
ジャマだなとも思われたくないし。
だって私は耳が聞こえないから、だから…
重荷になりたくないから。
[ 美渚、今メールしようと思ってたんだ。
さっき友達と自分の彼女自慢をしていたんだよ。 ]
[ 何?自慢って?
なんか恥ずかしい話だね。 ]
[ みんな自分の彼女が一番だからね。
結局ノロケ話で終わりだよ。
めちゃくちゃ楽しかったけどね。
美渚も一緒にみんなで遊ぼうってことになったんだ。 ]
[ 私も? ]
[ もちろん美渚はボクの彼女だもん。 ]
歩翔は
いつもいつでも
私を大切に想ってくれている。
それは
ちゃんと伝わってくる…
けどね
やっぱり不安なの
私は
本当に
となりにいていいの?って。