杞憂きゆう〜ムダなことなどひとつもないね〜短編集
[ 美渚寝ちゃったかな?
みんなで遊ぶ予定が決まったらメールするね。
またあした、おやすみ。 ]
このメールに返信したかったけど
どうしても手が動かなかった。
大好きだけど
歩翔とは住む世界が違うような…
そんなふうに思っちゃっている自分もいて
最近はため息ばかりついていて
自分でも疲れているような感じ。
ただ歩翔と会って会話(手話)して
それだけで楽しかった。
それだけで幸せな気持ちになれた。
私の心の中は
歩翔でいっぱいいっぱいになっているけど
だから
こんな私は
こんな私でいいのかって思うようになった。
携帯にぎりしめて泣いている私に
携帯がキラキラと輝きだした。
[ もう寝ちゃってると思うけどメールします。
美渚なにか悩んでるのかな?
悩んでいるなら教えてほしい。
今のボクは頼りないと思うけど
今のボクで
今のボクの出来る精一杯で美渚を支えていきたいから教えてね。 ]
私はメールをみて
声をあげて泣いた。
とにかく泣いた。
私が思っているより
歩翔は私のこと想っていてくれる。
ちゃんと伝えよう、今の私を。
[ 歩翔、明日朝会えないかな? ]
[ うん!大丈夫だよ。 ]
[ 朝7時に歩翔の駅でいいかな? ]
[ わかった。
早く一緒に寝ようね、おやすみ。 ]
ねえ、歩翔。
私は
あなたにだけ聞こえるように話すから
私にだけ聞こえるように話をしてほしいの。
[ 美渚!おはよう。 ]
[ おはようございます。 ]
「 あ、ゆ、と、が、
だ、い、す、き、だ、よ。 」
歩翔は
ぎゅっとだきしめてくれながら、
「 ボクも大好きだよ。 」
聞こえたような…気がした。
end