杞憂きゆう〜ムダなことなどひとつもないね〜短編集
今日は理由もなくゴキゲンな朝
とにかくゴキゲンだった。
そんな気分が自分でも不思議だった。
今日なら
あなたのついてきあウソも微笑んでくれたら
無条件で許せそうな気分だった。
いつからか二人はわかりあえなくて、
ムダに言葉を投げてみても返ってくることなくなって…。
手に届くところに
目の前にいるはずのあなたは
まるで人形でしかなかった。
だから…
「 もう、ムリだね。 」
つぶやいてしまった私に
あなたは小さくうなづいて、
そして静かに笑った。
私のつぶやいてしまった言葉に
あなたは言葉すらもくれないなんて
二人は
いつ
どこで
間違えてしまったのかもわからない。
あなたのこと好きだった心も
まるでまぼろしだったみたいに
ひとつも思い出せない。
私から別れを言い出させようとするあなたは、
もうステキすぎて…
「 今すぐ会いたい! 」
って
ワガママを言っていたあなたの声を
耳が探しているのに
もう…
その声すら思い出せなくなっている。
悩み顔の私を冷たく見つめているあなたを
私は悪魔にしか見えなくなっていた。
あなたと別れて駅を出た。
雨の予報なんて出てなかったのに降りだした雨。
もしかしたら
あなたがいるかもと振り向いた北口。
北口の上の空は晴れている。
あなたが笑っているのかもしれない!
それくらいの快晴だった。
私の上にだけ降る雨…
私雨。
私の涙を隠してくれているみたいに降る雨
私は傘もささずに駅前の駐輪場へと足をすすめた。
やっぱり今日は
ゴキゲンな1日になれたね!
って
激しい雨の中
空を見上げていた。
end
2015/09/06
綾香 愛心。  ̄(=∵=) ̄