ヴァイオレンス・フィジカリズム
一度は穏やかになった口調を再びヒートアップさせて、口から唾を飛ばしながら話していた男は、ふつと其処で言葉を切った。
「ごめんね、友姫(ゆうき)ちゃんはこんな話詰まらないかな?」
――散々話しておいて今ごろそれか。
僕には心底、その男の気持ちが分からなかったが、いいえと首を横に振った。
「凄く、面白いです。もっと聞かせて?」
それは本当だ。
この汚い醜い男にはミジンコ程の興味もなかったが、この男の話はもっと聞きたかった。
「遺伝子操作なら施術費だけなら手術よりも安いんだよ。何回かに分けて少しずつ遺伝子を変えていく。大体今の予定だと五回の施術で500万。ね、安いもんでしょ、」
「本当に。」
「その後も発狂回避の為の通院とかは必要になるけどね。それを考えても安いんだ……やっぱりこれからは整形外科は遺伝子操作に変えていくべきなんだよね。」
続きをねだれば男は甘ったるい安堵の表情を――それがまた気持ち悪いのだが――浮かべて、続きを話しはじめた。
「マスター、僕もその実験のモルモットにはなれるんですか?」
そう聞いたら、男は心底驚いた様に、糸みたいに細い目を見開いて、ええ、と間抜けに聞き返してきた。
「ごめんね、友姫(ゆうき)ちゃんはこんな話詰まらないかな?」
――散々話しておいて今ごろそれか。
僕には心底、その男の気持ちが分からなかったが、いいえと首を横に振った。
「凄く、面白いです。もっと聞かせて?」
それは本当だ。
この汚い醜い男にはミジンコ程の興味もなかったが、この男の話はもっと聞きたかった。
「遺伝子操作なら施術費だけなら手術よりも安いんだよ。何回かに分けて少しずつ遺伝子を変えていく。大体今の予定だと五回の施術で500万。ね、安いもんでしょ、」
「本当に。」
「その後も発狂回避の為の通院とかは必要になるけどね。それを考えても安いんだ……やっぱりこれからは整形外科は遺伝子操作に変えていくべきなんだよね。」
続きをねだれば男は甘ったるい安堵の表情を――それがまた気持ち悪いのだが――浮かべて、続きを話しはじめた。
「マスター、僕もその実験のモルモットにはなれるんですか?」
そう聞いたら、男は心底驚いた様に、糸みたいに細い目を見開いて、ええ、と間抜けに聞き返してきた。