ヴァイオレンス・フィジカリズム
この仕事に就いて結構長い身だ。
蝶々館の主とはもう気の置けない仲だった。
蝶々館は意外と古い、作りも厳めしい洋館作りだったが、オーナーの葛城絢(かつらぎあや)は存外若い男だ。
どう見ても20代半ば、という感じの。
ミステリアスな雰囲気の持ち主で、考え方や物言いも独特な所がある。何時も飄々としているのに、何処か影を持っていて。
不老不死の男だと言われても納得できたし、なにか所以あってこの舗を譲り受けただけだと言われても納得できた。
何をしていても、何をしても違和感の無い万能さを持つ男。それが葛城だった。
何よりも葛城は、この僕が認める程には酷く美しい。
彼本人が身体を売ればもっと儲かるだろうに、そうはしていなかった。
それをする事に抵抗は無いらしいのに、だ。
葛城は掴み所が無さすぎて、でもだからこそ、僕は彼が結構好きだった。
「仕事帰りに寄るなんて珍しいじゃねぇか。」
何時もは速攻で帰る癖によ。
オーナールームに顔を出すと涼やかなテノールの憎まれ口が僕を出迎える。
蝶々館の主とはもう気の置けない仲だった。
蝶々館は意外と古い、作りも厳めしい洋館作りだったが、オーナーの葛城絢(かつらぎあや)は存外若い男だ。
どう見ても20代半ば、という感じの。
ミステリアスな雰囲気の持ち主で、考え方や物言いも独特な所がある。何時も飄々としているのに、何処か影を持っていて。
不老不死の男だと言われても納得できたし、なにか所以あってこの舗を譲り受けただけだと言われても納得できた。
何をしていても、何をしても違和感の無い万能さを持つ男。それが葛城だった。
何よりも葛城は、この僕が認める程には酷く美しい。
彼本人が身体を売ればもっと儲かるだろうに、そうはしていなかった。
それをする事に抵抗は無いらしいのに、だ。
葛城は掴み所が無さすぎて、でもだからこそ、僕は彼が結構好きだった。
「仕事帰りに寄るなんて珍しいじゃねぇか。」
何時もは速攻で帰る癖によ。
オーナールームに顔を出すと涼やかなテノールの憎まれ口が僕を出迎える。