「すき」だらけ
そこから動けず泣きじゃくるあたしの視線の先に見えたのは男の子のスニーカー。

それが誰のかなんてすぐわかってしまう。

息を切らして走って来てくれたんだ。でも顔を上げれない。

「何やってんだよ?」

あたしが顔を上げないから辻宮がしゃがみこむ。

俯いた隙間から見えた。彼の膝。

「どうした?」

「・・・傷つけた。あたしたくさんの人たち傷つけた」

「傷つけた?」

「・・・高瀬くん・・・とか」

「あー。高瀬になんか言われた?」

「気持ち弄んだって」
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