昔みたいに 抱きしめて?

いざ買い出しへ

作る物を考えてからの数日後、私はスーパーに買い出しに来た。

材料を見る前に、バレンタインチョコ売り場を見てみた。




「うーん…。

もう、よさそうなチョコは売り切れっぽいなぁ…。

今年は、翔にも作ってみようかなぁ…?」


思わず呟いてしまうほど、手頃な値段の物はなくなってしまっていた。

でも、何を作ろうか?

去年までに友達に配っていたのだと、内容を知っているだけに失礼だろう。

昔、他の子と同じ物をあけだ時には悲しそうな顔をされたので、みんなと同じはない。

材料をみながら、私は翔の為に作るものを考えていた。




…難しい。

今まで作るのから逃げていただけに、すっごく難しい…。

家は隣だから、手を掛けた物なら直接渡せばいい。

そして、翔は昔から甘党。

同い年の私たちは度々同じクラスだった。

だから翔が甘党なのも、それでどれだけからわれていたのかも知っている。

見るからに甘い物はお互いの家族の前以外では嫌がるはず。




いろいろ考えていたら、余計な物までかごに入れそうになってしまった。

ふとそれを見る。

途端に頭の中でお菓子がよぎる。

《これにしよう!》

私はそれに決めた。
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