慟哭
私は先月あなたと同じ歳になったよ
突然の病で、人生半ばで絶えてしまった命
あなたのお兄さんが言っていた
「月日が経つごとに弟が愛おしくなるんです」
私も同じ
私はあなたの命日に毎年、逢いに行く
電車とバスに乗って
山の中の綺麗な公園墓地で、小雨の中、私は祈りを捧げる
冷たい御影石に向かって
いつか、私がそちらに行ったらよろしくね
それまで、私を見守ってください、時には勇気を下さい
何かいい事あれば、あなたのお陰だね、と感謝する
私なんかしぶといから、無駄に長生きしそうだよ
ここに来る時、電車の中からスカイツリー見たよ
ほんと、でかかった
ちょっと異様だね
あなたなら真っ先に行きたがるだろうね
でも、並ぶの大嫌いだから、行かないだろうね
ほんと、私の寿命、分けてあげたかった
泣いてばかりはいられない
大人なんだから
だから、あなたが死んでから、私は涙を流さずに泣くことを覚えた
すうっと鼻で息をして
深呼吸を繰り返して
肺に空気の涙を流し込む
液体の涙なんか流しても、化粧が崩れるだけ
もう帰ってこないんだから