カゼヒキサン。
がらっ

「おっはよー!」

ドアを開けたらんちゃんは、声高々に皆にご挨拶。

「らんちゃんおはよー!」
「蘭名、おっはー。」
「おはよー、らんっ!」

らんちゃんはクラスの人気者。

挨拶一つに、20くらい返ってくる。

らんちゃんすごいなぁ…。

「みんなおはよー…。」

あたしもらんちゃんに続き、教室に入ってく。

なんか緊張して、小さい声になっちゃった。

「あっ、瑞希じゃん!」
「瑞希大丈夫かー?」
「風邪治ったー?」

わー、皆に心配されちゃってるよあたし…。

「うんっ、大丈夫だよーん!」

心配に照れちゃって、とりあえずテンション高め。

皆にブイッ!とピースサインを見せる。

「やっぱバカは風邪ひかねェってホントなんじゃねェの?」

「ひ、ヒッドイなー!さっぴだってバカじゃんっ!」

「いーや。お前には負けるって。」

結構仲良しのさっぴ(佐藤弘樹)がそう言いながら、目の前の席を指さす。

その席の隣に、らんちゃんが座る。

「瑞希、俺の前の席。」

「みーずき、席ここだよーん!」

らんちゃんがハイテンションに人差し指で机をツンツンつつく。

いやあれはつつくというよりもはや刺す。

ああー、机に穴開いちゃうって!

「らんちゃん、らんちゃん分かったから!!」

ドゴドゴと言う音が響く。

ら、らんちゃん指折れるよ!?

「ぷ、クク…ッハハハハハ!!」

さっぴが笑いだす。

「やっぱミズラン劇場はウケルよなー!」

さっぴは異常な愛をあふれさせるらんちゃんとあたしのやり取りを、瑞希と蘭名で『ミズラン劇場』と呼ぶ。

この呼び方、1年のときからそうだよねー。

「なぁーによ、ひろきち。うっさいわぁ!…ほら、瑞希、ココッ!☆」

らんちゃんはとびきりのスマイルでまた指を机にドゴドゴ…。

ちなみにらんちゃんは、さっぴの事ひろきちって呼んでいます。

らんちゃんいわく、「コイツからさっぴなんていう可愛いあだ名は連想できない」だそうです。

いいじゃん可愛いよー。

「ぷぷぷ…。」

さっぴはまた笑ってるし。


…やっぱ学校って楽しいなー。

なんかそう思って、思わず笑った。


その時。

ガラッ


「あ。」

「え。」


海斗が、ドアを開け現れた。
< 111 / 138 >

この作品をシェア

pagetop