カゼヒキサン。
カァー…カァー…
ザザァーン…

海の近く
カラスが鳴く

帰り道を歩くあたし達

「ふぅ~!今日は楽しかったね!」

「んっ、そだな。」


メグちゃんの結婚式が終わった。

二人が永遠に幸せになりますように。


「…ねぇ、海斗?」

「ん?」

「…あたしも、いつかはウエディングドレスきて海斗の隣にいられるかな?」

背が高い海斗を、見上げる視線で見つめる。

「いれるんじゃねーの?」

そういって、海斗は海側を向いて、あたしの頭をクシャっ、てした。

「つーか…。」

「ん?」

「誘惑してんじゃねーよバーカ。可愛すぎんだよコノヤロー。」

「なんだとー!…へ?」

い、今のは何?

文句なの?

褒め言葉なの?

いつも可愛いなんてあんまり言われないけど…。

「何赤くなってんだよ!」

「えっ、赤くなんかなって…んっ」

いきなりキスされる。

すこし、深めに…。

「プハッ…急にしないでよ。」

「バカヤロ、お前が誘ってんだろ。」

「誘ってなんかない。」

プイッと顔をそらす。


ぐいっ!

「!?」

腕を引っ張られ、かなりの至近距離で見つめられる。


「…安心しろ、お前は必ず『倉本瑞希』にしてやるから。」

「…倉本海斗ってそんなにドSだっけ?」

「うっせー。」

「…本当にしてくれる?」

「…本気に決まってんだろ。」



「…それじゃぁ…、誓いのキスを。」




夕焼けに照らされて

16歳の二人は静かに誓いのキスを交わした


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