スイッチ!
「何を言ってるか、わから──」




彩火が疑問を口にした時には、既に眞幸は準備を始めようと走り出していた。



駐車場の脇に置いてあった古いロープと水道のホース……それを崖の所から駐車場の中央付近まで敷いてゆく。





「ヨシ……さあ、ここがスタートだよ」




訝しげな表情を浮かべながら、彩火は眞幸の隣に並んだ。



そこは、両脇のロープとホースにより、崖へと続く道の様になっていた。




「じゃ……一応、説明してみたら」



彩火は、やや呆れた様子。



「ルールは簡単、ゲームをしながら後ろ向きに、この道を歩いていく……」




「ゲームって……?」




「うーん。そうだな……しりとりにしよう。互いに、答えた文字数だけ後ろに進むんだ。『ん』がついたら十歩進む……どう?」




「どう……ってゆうかさ。大体、ゲームは勝ち負けを争うものでしょ? それだと、この場合──」




「崖から落ちた方が負けだよ」



眞幸は、ニッと笑った。
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