スイッチ!
「私は……何に対しても興味がないの。人にも、物にも……自分の人生にも…………だから──」




「だから死ぬ? これから変われるかもしれない……そう考えられないのかな?」




「変わらない……きっと」




「……どうして今日?」




「…………」




「興味がない──ってのは、今までずっと同じでしょ……だったら今日、死ぬことにした、きっかけがある筈だね」




「言いたくないし、上縞くんに関係ない……あなた、男のくせに少しお喋りだわ」




「そうでもないけど。多分、僕は君に興味があるんだろうね」




「フ……それは皮肉?」




「違うよ」




「もういい……続けましょ」




「……わかった」





二人の会話が終わり……しりとりゲームを続けんとした彩火の表情が、何かを覚悟した様に険しくなった。




「じゃあ、私の番、『タ』だったわね……」




「ああ」




「『タンチョウヅル』……」




そう答えた彩火……





一歩一歩を確認するように、ゆっくりと歩を進める。




三歩、歩いた時……眞幸の隣に並び……





更に一歩……また一歩……




風の吹きすさぶ、崖に向かって近づいていった……。
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