キスから魔法がとけるまで
あれから数日後。
面接で、イイとこまでいけたあの企業から、正式に内定をとれたという事で、記入して貰いたい書類があると、連絡があったのだ。
私は天にも昇る気分で、キリリとスーツを着こなすと、やっと馴染んできたメイクを、念入りに施し、(株)丸山東証に向かった。
感じのイイ担当社員から、大まかの説明をうけながら、同時進行で書類にサインをする。
まるで嘘みたいな現実に、走馬灯のように、苦しかった就活活動の日々が、一瞬にしてよみがえると、思わず顔がにやけてしまう。
普通は何社も受けるんだろうけど、ここまでいけば決まったも同然。
大学のレポートやら、就活生と言えどやることは、たんまり残っている。
それに専念出来るのだから、私はラッキーだと高をくくっていた。