INそしてOUT
「見えるのか!」
男は大声を上げて、僕の首を締め上げる。

締め上げなきゃいけないのは、僕の方なんだけど……。

息苦しさに、涙目になりながら姉を覗くと『ごめんね』って申し訳なさそうな顔をして僕を見るものだから、恨み辛みが、なんだか…すーっと下に下に落ちて消えてしまっていた気持ちになった。

ダラダラと頭と胸から
血を流し
困った顔をする姉。

何があったかわからないけど……。

とりあえず
今は忙しいので、時間と場所を変えて話をする事になり今日に至る。




「何とかしろ」
ギラギラした目が真っ赤に充血している。

殺した女がずっとその姿で張り付いているんだから

そりゃぁ……ねぇ。

でも
自業自得だし。

僕は無言でバックから一冊の本を取り出す。

すると
姉の目が大きくなった。

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