INそしてOUT
姉は、照れたような困ったような
そんな顔をして
僕を見つめる。

「勝手にごめんね」
僕が言うと首を横に振り
目を合わせ
2人で微笑み合う。

頭から
胸から

血が止まらない。

半透明のその身体は
手を触れたらどうなるのだろう。姉を感じる事はできるのだろうか。

優しい姉との想い出が
走馬灯のようにグルグルと巡り
胸が熱くなり鼻の奥がツンとする。

「痛かった?」
ごまかすように笑って聞く。

姉はうなずく。

「頭と胸と、どっちが痛かった?」

僕の質問に真剣に悩み、眉を八の字にして考えていた。

すると

「うるさいっ!」
店に響く大きな声で男は叫び、店内が静まり返る。

僕と姉は肩をすくめ、クスクスと笑う。

『笑った顔が、姉弟似てるよね』
よく言われた言葉を急に思い出し、今度は目が熱くなる。

姉は、そんな僕におかまいなく

ただ

微笑むだけだった。
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