竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
本当、この長男、一番意味不明って言うか、人間がわからないっていうか……。感情、あるのだろうか。まるでロボットみたい。
「もう、私、誰とも結婚しないから……お店のことは、考えるけど……」
実際のところ、私には父親の遺産だというMistletoeを貰ったところで、生かしようがない。
格安で住まわせてもらっているお礼に、この三兄弟に譲ってもいいと、本気で思っているのは事実だった。(もともとないものと思えば、どうということもない)
「――だ、そうですよ、花沙」
「まあ、言ってろよ。俺はその気にさせるから」
花沙はきっぱりと言い放つと、その気にさせるらしいエリを見てにっこりと微笑む。
本当にすごい自信だ。コンプレックスのかたまりみたいな自分からしたら、眩しくて仕方ない……。
「はいはい……」
軽くうなずきながら、残りのパンを押し込んだ。