竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
エリは窓辺にそう形でずらっと並んでいるテーブルについて、一人かやくうどんを食べていた。
ほとんど食事は終わっていたのだが、このままお昼休みが終わる間近までここで時間をつぶそうと考えていたのだ。
「ありがとー」
宮田直子はいつもの美味しそうな大福餅のような笑顔を浮かべ、エリの隣にトレイを置き、椅子に座った。
「っていうかさ、そろそろお中元始まるよね。あたし、それが憂鬱で憂鬱で……」
直子の言うとおり、そろそろお中元の催事が始まるということで、店内も模様替えが始まっている。
「ああ……そうだよね。でも、直子はアルバイトだから別に関係ないんじゃないの?」
「いやいや、大有りだよ。社員はお中元会場に行っちゃうし、アルバイトともいえども負担は増えるよ。この期間だけでも時給あげてもらいたいくらい」
直子はブツブツと文句を言いながら「ついでに食欲も落ちればいいのに!」と今日のA定食に箸を伸ばす。
A定食はハンバーグだった。結構なボリュームだ。