竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち

「――あの人が……私に?」

「そうだ。彼からの……プレゼントだ」

「ッ……いりません!」



目の前が真っ赤になった。


なんなのよ、今更。プレゼントって。


エリは勢いよく立ち上がって叫ぶ。



「いらないです、こんなもの貰ったって、困ります! 返してください、あの人にいらないって言って! 私に関わらないで!」

「――」



無言で足を組んだままの彼は、ほんの少しだけ眉をひそめる。

すると、それまで黙っていたカズサが、ドアから体を起こし、ズカズカとエリの隣にやって顔を覗きこんできた。



「えー、じゃあ、遺産放棄するってことでいいわけ?」

「は……?」



遺産放棄……?



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