竜家の優雅で憂鬱な婚約者たち
ある日やってきたイケメンスーツ三兄弟にさらわれて、お父さんが死んだことを告げられて。
で、青天目ビルヂングにあるこのテーラーはお前のものだけど、俺たちも欲しいから三人の中から誰かを選んで結婚しろって言われて。
そんな馬鹿なことがあるかと、あ然としていたところにお母さんがやって来て。
助かったと思ったのもつかの間――……
「え……お、お母さん……?」
桜子の姿を見て、ホッとしたエリだったが、その尋常じゃない様子に戸惑っていると、いきなり
「――エリ。うちから出て行って」
と、言われたのだ。
この状況。てっきり助けが来たのだと思ったエリを、誰が責められるだろうか。
エリだってそれを「わかった」と受け入れられるはずもなく「どうして!?」と詰め寄った。