げんちゃん
緋戸と私は所謂"腐れ縁"と言う奴だ。
小中高と一緒で、自宅まで同じアパートだ。
他の輩から見れば運のいい奴だとか思われるだろうが、私は断じて違う。
こいつの所為で何度死にそうになったか…。
「お待たせ」
いつの間にか席に戻っていた彼はふと机に突っ伏した。
「まーた、ラブレターだよー」
ひらひらと手でラブレターを揺らす。
沢田明子と書かれていた。
「へー、沢田さんって人からなんだ」
興味ねー。
「へー、沢田さんなんだ」
手紙に目をやり名前を確認する。
きっとこいつにとってみればこのラブレターも沢田さんも、ただのファンクラブの様なものの一部でしかないんだろうな。