Vampire's Moral





和明は何も考えず簡単に答えてるように見えるけど、実はそんな事は絶対に無い事を、俺は知っている。

ほら、実際。



「なぁ…、和明。どうすれば良い?」

「そうだよなぁ…。どっちにしろ、上野には二度と会えないかもしれないって事だもんなぁ」



和明は眉尻を下げまくって、凄く真剣に考えていた。
目がキョロキョロと挙動不審に動いてる事からも、考えまくっている事が分かる。



「俊秀的には、上野と二度と会えないってのは最悪の場合だからそれは選びたくない訳だけど、そうもいきそうにない」

「あぁ」

「だったらせめて、俊秀と上野の二人の立場から考えて最善の場合を選びたいんだけど、上野の意見を聞く事は出来ない、と」

「…………」

「…俊秀? 今の、聞いてた?」





……俺と江梨子の二人の立場から考えて、最善の選択、か。


…………もしも俺と江梨子の立場が逆だったとしたら、江梨子はどう考えるんだろう?





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