Vampire's Moral
「俺なら迷わずに血を捧げて、上野の意識を戻してもらう。それで俺が死ぬ事になっても誰かが死んだ経緯を話してくれるだろうし、手紙だってメールだって何だって残せるから」
そうか。
それが和明が考えた、答えか。
「俊秀がBloodyに相談するように言ったのは俺だし、当事者じゃないからリアルさにも欠けるだろうし、ましてや俺には大事な人はいないけれど。俺ならやっぱ、相手に幸せになって欲しいからね」
そこで和明は、少しだけ笑った。
本当なら笑うトコじゃない。
江梨子を助ける方法を真剣に考えて欲しいって、俺は怒っても良い。
しかも和明は、元から顔が笑ってるように見える顔ではない。
それでも俺には、相手が幸せになって欲しいからこそ出てきた笑みだと分かったからこそ、和明を怒らなかった。
相手――江梨子には、本当に幸せになって欲しい。
例え俺が犠牲になって、全てを終わらせる事になっても。
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