Vampire's Moral
俺は丸椅子を二つ出して、片方に座った。
Bloodyは何も言わず、もう片方の丸椅子に座る。
目の前のベッドには、相も変わらず意識不明の江梨子が眠っていた。
Bloodyは何も言わず、江梨子を冷めた目で眺めている。
コイツを此処に連れてきたのは、間違いだったかもしんない。
「この人が、下野の彼女?」
しびれを切らした俺が花瓶の水を替えようと立ち上がった時、ようやくBloodyが口を開いた。
「そうだよ。俺の彼女で、隣りのクラスの、上野江梨子」
……ってか、長い間考えてて、出てきた疑問をそれだけか。
少しだけイラッとした俺は、再び水を替えようと立ち上がる。
「この人が意識が無いの、出血多量だけが原因じゃなさそうだな」
……何だって?
江梨子が意識無いの、原因は一つだけじゃないのか?
医者からも、そんな説明は無かったぞ。
.