Vampire's Moral
「……おばさんとしては、やっぱり江梨子の意識が戻って欲しいけど、その代わりを俊秀君にする事は出来ないわ」
辛そうに言葉を吐き出す、江梨子のお母さん。
何で、そんな答えを選ぶの?
自分の娘である、江梨子を選ばないのは何で?
「俊秀君のコトは昔から知ってるし、おばさんにとっても実の息子みたいなものよ。いくら実の娘の意識を戻す為とはいえ、息子同然の俊秀君が死んで良いって訳じゃないわ」
「おばさん……」
そんなふうに思ってくれてたなんて。
おばさん、俺をそんな大事に考えてくれてたんだ。
辛い選択を、考えさせてしまって、ごめんなさい。
「それに、俊秀君は江梨子を、こんなにも大切にしてくれてる。江梨子が毎日を楽しく過ごせてるのは、俊秀君のお陰よ。もし本当に俊秀君が死んじゃったら、それが例え江梨子を助ける為だとしても、江梨子は絶対に悲しむわ」
江梨子が毎日楽しく過ごせてるのは、俺のお陰、なのか……。
.