Vampire's Moral






「……おばさんとしては、やっぱり江梨子の意識が戻って欲しいけど、その代わりを俊秀君にする事は出来ないわ」



辛そうに言葉を吐き出す、江梨子のお母さん。

何で、そんな答えを選ぶの?
自分の娘である、江梨子を選ばないのは何で?



「俊秀君のコトは昔から知ってるし、おばさんにとっても実の息子みたいなものよ。いくら実の娘の意識を戻す為とはいえ、息子同然の俊秀君が死んで良いって訳じゃないわ」

「おばさん……」



そんなふうに思ってくれてたなんて。
おばさん、俺をそんな大事に考えてくれてたんだ。

辛い選択を、考えさせてしまって、ごめんなさい。



「それに、俊秀君は江梨子を、こんなにも大切にしてくれてる。江梨子が毎日を楽しく過ごせてるのは、俊秀君のお陰よ。もし本当に俊秀君が死んじゃったら、それが例え江梨子を助ける為だとしても、江梨子は絶対に悲しむわ」

 

江梨子が毎日楽しく過ごせてるのは、俺のお陰、なのか……。





.
< 124 / 464 >

この作品をシェア

pagetop