Vampire's Moral
「たっくんから聞いた。“夕食の当番を替わるよう頼まれた”ってボヤいてたよ」
…拓斗め、余計な事を漏らしやがって。
おかげで、俺の受け取る報酬が減ったじゃないか。
俺は溜め息を吐きつつ、大きく伸びをした。
「さ、依頼人の願いも叶えたし、家に帰ろう」
「それは俺の台詞だ。しかも中途半端に邪魔しやがって」
俺が悪態をついても、全く気にしないDesire。
「あれくらいで良いんじゃないの? そんなに不幸を生産したって面白くないし。あれなら、後は本人達で考えれば良いと思うし」
Desireはこの結果に満足してるようだが、俺はそうもいかない。
「Desire、帰りにトマトジュースのペットボトル、10本奢れ」
「…仕方無いね。じゃあストアに寄ろう」
Desireは俺を見て、苦笑しながらそう言った。
Desireの所為で圧倒的に栄養不足になった俺は、しばらくトマトジュースが手離せなくなりそうだ。
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