Vampire's Moral

「……だって、病院で死んでる筈だったんだぞ。それなら俺は後の事なんて知らないし、保険証や入院歴から病院が連絡とかしてくれただろうし」


俊秀の言うとおり。
俊秀は悩みに悩んで、一部の人の悲しみ以外は一番良い選択をした筈だった。
そうしたら俺は、上野に、本当の事を全部話すつもりだった。

俊秀も交通事故に遭ってはいるので、それが原因で体の何処かが悪くなってても、説得力は0じゃない。

まだ悲しみは少なくなる筈だった。
まだ疑われない筈だった。

全ては上野の為に。



ただ、今の俊秀の場合、「交通事故の怪我が治るのに栄養が使われちゃった」という言い訳で、栄養失調による失明が説明出来る。
もう一か月も経ってるけど。

肝臓や腎臓が弱ってるなら、俊秀の自業自得の可能性もあるし、受験生の生活が不規則になってるって言っても良い。


説明は凄く簡単だった。
治療が凄く面倒だった。

……ただ、まぁ。





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