Vampire's Moral





ねぇ、流血。

流血はあの事を覚えてるの?
白兎を、覚えてるの?



だけど流血は何も無いように、私から古事記の本を受け取って読み始めた。


『因幡の白兎』は簡単に言えば、心優しき大国主神が、ワニを騙して復讐されたウサギを助けてあげる神話。
本当なら、そもそもワニを騙したウサギが悪いんだと思うけど。


「ねぇ、Desire?」

「何?」


私は少し、緊張して答える。
白兎を、思い出したの?


「……ガマの穂って、椿の葉みたいな効果はある?」


…何だ、ガマの方か。
白兎を思い出したんじゃないんだ。


「ガマの穂はね……、お通じを良くするらしいよ。生薬として使うんだって」


今度は植物辞典を出して、流血に見せる。
流血は熱心に、古事記の本と植物辞典を読み比べた。

『因幡の白兎』は神話であり昔話だから、今の薬学か比較しても、あまり信憑性が無いと思うんだけど…。





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