Vampire's Moral
やがて流血は納得したのか、古事記の本と植物辞典をパタンと閉じた。
「ありがとう、Desire。こういうの、面白いね」
「…まぁね」
「また今度、色々教えて」
私は流血から古事記の本と植物辞典を返してもらい、本棚に片付ける。
「…だけど、何で美濃(ミノ)が知ってたんだ?」
「…さぁ? 私は美濃さんに会った事が無いから、何とも」
「だよね」
美濃さんは、かつての流血の依頼人で、今は駿河さんの彼氏。
美濃さんと駿河さんをくっつけたのは、流血。
それが依頼だったから。
「…ごめん、長居した」
流血は大きく伸びをする。
「いえいえ」
「また今度、漫画貸してね」
「はいはい」
そのまま流血は、私の部屋を出て行った。
私は何とも言えず、黙って見送る。
暫くしてケータイが鳴ったから確認すると、駿河さんからメールが来た。
.