Vampire's Moral





「そう。5のボタンって、少しポチッてなってるじゃん? それを確認してから、ボタンとボタンの間とかを確認しつつ操作してる」



俺は自分のガラケーをポケットから出して、ボタンを確認する。
確かに5のボタンは少しポチッてなってて、ボタンとボタンの隙間は触ると分かる。



「5のボタンは、普通の電話でもポチッてなってるよ。で、メールは読めないから、“文面読み上げ”の機能を設定してある」


確かに“文面読み上げ”の機能、機種によってはあるな。俺は使った事無いけど。
…じゃあ、さっきの台詞みたいな声は、メールの文面って事か。



「さっきのはメールだろ? 誰からのメールだったんだ?」

「出掛ける前のヤツ? あれは江梨子からのだよ」


そうか、だからお見舞いに来れるかどうかって内容だったのか。


「元から、電話とメールの着信音を、違う曲で設定してあったんだよ。だから、目が見えてなくても電話もメールも使えてる」





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