Vampire's Moral
「そんな……」
当たり前にある風景、当たり前にある毎日。
当たり前にある、昔から見てた好きな人の笑顔。
それが突然消えてしまったら、何を思って、何を願うんだろう?
俊秀はただ、当たり前にある好きな人の笑顔を取り戻したかっただけなんだ。
例え、トシの命そのものを引き換えにしたとしても。
「アンモラルのBloodyは俺と俊秀のクラスメートなんだけど、俊秀はBloodyに“上野の意識を戻して下さい”ってお願いしたんだ。…Bloodyは何て言ったと思う?」
「え? “報酬は血を頂く”?」
「それは当たり前だよ、吸血鬼なんだから。そうじゃなくて、“上野の意識を戻すには凄く力がいるから、俊秀自身が死ぬくらいの血を報酬として頂く”って事を言ったみたいなんだ」
「…え?」
そりゃ理解も出来ないよね、こんな事を急に言われたら。
それだけ、上野自身の状態も酷かったって証拠なんだし。
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