Vampire's Moral
…………アンモラルか。彼女も。
文化祭の直前である今、あたしのように「文化部を守って欲しい」と願う子が他にいたとしても、違和感はゼロだ。
文化祭に使う物を守りたい。展示する作品を死守したい。
多くの文化部員が必死だ。
悪い噂があっても、生気が減ったとしても、文化部を守ってくれるなら縋りたい。
かくいうあたしも、その一人なわけで。
「まぁ、俺達にとっては、被害が減るだけでもありがたいですよ」
「そうだね」
後輩がそう言って、木彫りの像に透明ラッカーを塗ろうとした途端。
廊下を走ってくる音がして、勢い良く部室の戸が開いた。
美術部は皆おっとりしてるし、遅刻や欠席も厳しく取ってないから、走って部室に来る理由が無い。
嫌な予感がする。
……後ろを振り向きたくない。
「あれ、もう集まってたんだ。まぁ、俺達は好き勝手やらせてもらうけど」
「逃げて!!」
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