Vampire's Moral
6 ~拓斗Side~
「……それじゃ、5ccで」
「良いの? それだけで」
「良いんじゃない? 俺は特に何もしてないし、流血も何もいらないらしいし」
俺・アンモラルの相模拓斗は、「文化部をヤンキー共から守って欲しい」と依頼してきた美術部部長・三河優希から、報酬の血を受け取ろうとしていた。
俺がやった事は、本当に少しだけ。
「三河さんが実は凄い」という噂を色々流して、ヤンキー共を叩きのめす事が出来る流血に相談した、その二つだけ。
しかも俺が流した複数の噂は、ことごとく事態を悪化させただけに終わった。
結果、三河さんは止まない被害に、一時的に追われた。
この学校のヤンキー共の馬鹿さ加減は、一筋縄ではいかないらしい。
頑張って褒められた人へ逆恨みするなんて、本当に馬鹿げている。
それに比べると流血は、その後に続いた文化部への荒らしも、ことごとく沈静化して回ってくれた。
.