Vampire's Moral
「遊びに来ただけって事?」
「まぁ、そんなモンです。…強いて言うなら、下野さんと上野さんを、今よりもっと幸せにする為に来ました」
Desireちゃん、言う事が格好良いなぁ。
私は結果的にトシを騙してしまう事に罪悪感を少しだけ覚えながら、Desireちゃんを尊敬の目で見る。
Desireちゃんはトシから目をそらさない。その高さから、トシの目を観察してるようにも見えた。
「下野さん、瞼に汚れが付いてます。取ってあげるんで、目を閉じて下さい」
Desireちゃんはさりげなく、だけどガッツリ話題を変えた。
…ってか、え? トシの瞼に汚れ? そんなん付いてないよ。
Desireちゃんの言葉に疑問を感じる私を無視して、何も疑問に思わないトシは素直に目を閉じる。
トシの目を瞼の上から優しく、だけど丁寧に触るのを見て、私はようやくDesireちゃんがやりたかった事に気付いた。
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