Vampire's Moral





俊秀の目が見えるようになったとしても、上野が脱水症状や熱中症になってて危なかったら、俺がたぶん俊秀に怒られるだろうからな。
で、きっと俊秀はまた自分を責めるんだ。

上野がスポーツドリンクの封を開けて、ゴクゴクと飲むのを確認してから、俺は話し出した。



「俊秀はとても苦しんでたんだよ。上野の意識が戻らないのにショックを受けたのは勿論だけど、日常的に存在するのが当たり前だった上野の反応が無い事が、思ったよりもしんどかったらしい」

「…日常的に存在するのが当たり前だった、私の反応?」

「あぁ。俊秀と上野って、元から幼なじみなんだろ? 俊秀にとっては、何か喋ったら上野が反応を返してくれるのが、当たり前だったらしいよ」


俺がこんな事を話して良いかは、正直言って分かんない。
俊秀の恥ずかしい本音を暴露してるんだから、怒られたって仕方無いとも思うし。


「…トシがそんな事を考えてるなんて、知らなかった」





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