Vampire's Moral





「何回聞かれても同じ。ニンニクの醤油漬け」

「そんなっ……」


それじゃ私、夕食が食べられないじゃない!
それどころか、食卓に近付くのも無理!!
リビングに入れもしない!!!


「たっくんに言いつけてやる!」


Bloodyのコト、たっくんに怒ってもらわなくちゃ!
さすがにBloodyでも、たっくんの言う事なら従ってくれるでしょ。

私が怒ってリビングを出て行こうとすると、後ろからBloodyがケラケラ笑う声が聞こえた。


「Desire、本気にしたんだ? 馬鹿だなぁ。吸血鬼がニンニクの醤油漬けなんて食う訳無いだろ」

「馬鹿にしたのね!」

「だって、信じるとは思ってなかったし。Desireのコトだから、笑い飛ばすと思った。今日はカレーだよ。ニンニク以外の香味野菜とスパイスを沢山使った、夏バテ防止のポークカレーだって」


日差しにとことん弱い動物である吸血鬼の為の、最高の夏バテ防止メニューだった。





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