Vampire's Moral





必然的に、私が頼れるのはDesireちゃんだけになる。

しかもトシには“遊びに行く”としか伝えてないから、これから何をするのかすらも知らない筈なの。
だって、本当の事を言ったら、トシはきっと怒るか、悲しい笑顔で「そんな事しなくて良いよ」って言うだろうから。

Desireちゃんは最初に、私の想定外な事を言った。


「まず、下野さんも上野さんも、トマトジュースを飲んで下さい」

「は?」

「え、俺?」

「はい、私も飲みますから」


私は自分の分のトマトジュースを一気に飲んで、トシがトマトジュースを飲むのを手伝う。
Desireちゃんを見ると、本当にトマトジュースを飲んでいた。
…後で知ったんだけど、このトマトジュースはDesireちゃんの優しさに繋がっていた。


「はい、飲んだ」

「じゃあ下野さんは、私が“良い”と言うまで、目を瞑っていて下さいね。途中で絶対に開けちゃ駄目ですよ」





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