Vampire's Moral
「Desire! …あのさ」
ずっと黙りっぱなしだったトシが口を開いた。
その目は、しっかりとDesireを見ていた。
「今日は、……俺達の為に、本当にどうもありがとう」
「依頼ですから」
トシの心からの感謝の言葉に、しかしDesireちゃんはあっけなく答えて出て行った。
だけどDesireちゃんは、部屋を出て行く間際に、私にだけ分かるように、そっとウィンクしてくれた。
…そういう事か。
空気読んでくれて、本当にありがとう。
「……ねぇ、トシ」
私はトシの方に向き直り、気になる事を質問する事にした。
トシは、しっかりと私を見てくれている。
この状態なら、この質問はいらないかもしれないけど、念の為。
「…トシ、本当に見えるようになったの?」
「あぁ、見えるよ。さっきの説明通り、左目がボンヤリしてるけど」
「…じゃあ、これは見える?」
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