Vampire's Moral





トマトジュース? 何でまた……?
塩冷麺をテーブルに置いてから、お客さんの顔を改めて確認する。

灰緑の髪に、灰緑の目。
喧嘩最強少女と恐れられる、知り合いの後輩。


「…因幡(イナバ)、流血ちゃん?」

「お疲れ様です、三河先輩」


それは文化祭直前に助けてくれた一年生、因幡流血ちゃんだった。
今日は土曜日だから学校は休みだけど、何で制服着てんだろ?


「学校行ったの? 部活?」

「いえ、世界史の補習です。部活には入ってません」


言われてから、今日は休み明けの実力テストで赤点を取った人の、補習がある日だったと思い出す。
あたし、何とか全部の教科で赤点を免れたけど。
世界史は覚える事が多いから、大変そうだな…。


…ってか、部活に所属してないのか。マジか。
柔道部とか空手部とか、合気道部が喜びそうな逸材なのに。
自分とは全く関係無い事なのに、何となく勿体無い。





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