Vampire's Moral





俺はかなり心配しながら、待たされて少しだけ苛々しながら、真亜咲にどう連絡するかで悩みつつ、公園の風景を眺めていた。

すると、灰緑色の髪が目立ち、北高の制服を着る、俺のよく知った人が通りかかるのが見えた。


それはクラスメートであり、“願いを叶える吸血鬼集団・アンモラル”の一人として、俺と真亜咲をくっつけてくれた、因幡流血だった。

…そういや、今日は学校で一言も喋ってないな。


「因幡!」


声をかけてみたけど、因幡は気付かない。
イヤホンをしてるようでもないし、何かに集中してるのか?


「因幡! 因幡ってば!」


俺は再び声をかけてみる。
因幡は声には気付いたようで、周りをキョロキョロと見回しているけど、俺には気付いてないらしい。

因幡には俺が見えなかったみたいだが、俺には見ない方が良い物が見えてしまった。
キョロキョロと周りを見回す時に、首が動かなかったら、俺はそれに気付かなかったと思う。





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