Vampire's Moral





「動詞って、どうやって見分けるの?」

「それは覚えるしかないかな」


げ、面倒くさい。
ただでさえ文法を覚えるのでいっぱいいっぱいなのに、それぞれの動詞の特徴まで覚えてられるかよ。


「…ってか、俺も江梨子も日本人なんだし、英語なんか勉強しなくても生きていけそうじゃね?」

「英語が無くても生きてはいけるかもしれないけど、とりあえずは受験で引っかかるよね」


江梨子に現実を突きつけられた。
世の中、上手くいかないのな……。



とりあえず山のようなアルファベットと専門用語で目が回りそうだったから、俺は顔を上げて伸びをした。

灰緑色の髪と目を持つ北高の制服を着た人は、まだ向こうのテーブルに座っていた。
現役の北高の生徒さんを見てたら勉強する気も起きるかもしれないし、しばらく観察してみる。

背表紙を眺めていると、彼女は少し前にヒットした小説を読んでいる事が分かった。





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