Vampire's Moral





泣ける小説として話題になり、あまりのヒットから既に映画になる事が決まっている。


見ているうちに、彼女の目の色が、灰緑から赤に変わっていってるように見えた。
目の色が変わるなんて、普通にありえない。
せいぜい、泣きはらした白目が赤くなる程度だろ?


気の所為だと思ってそのまま眺めていると、彼女の目の赤さはドンドン増していった。

そのまま、赤い目から、赤い雫がポトリと落ちる。
まるで、目から血を流しているか、涙が血になってしまったのかのように。

赤い雫は本当に涙のように、彼女の頬を伝って落ちていく。
北高のシャツが赤く染まってくけど、彼女はそれに気付いてないようだった。


「――――っ!」


驚いて叫びそうになったけど、図書館だから大声は出せないと気付いた。
しかも、直接の知り合いじゃないから、本人が気にしてないのに騒ぐのは、何か鬱陶しいだけな気がするし。





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