Vampire's Moral






「…いや、子ども向けじゃないよ。これじゃ夢がなさすぎる」


私はBloodyに話の感想を言いながら、流血の様子を見た。
流血は話が終わってから、何だかボーッとしてるように見える。


「いや、そんな事は無いだろ。主人公が死んじゃう話なんて、いくらでもあるんだし」

「確かに主人公が死んじゃう話ならいくらでもあるよ。主人公とペットの犬が死んじゃったり、戦争で動物園の動物を餓死させなきゃいけなくなっちゃったり。でも、これじゃ怖くて人を好きになれなくなっちゃうよ」

「人を好きになるとか、ならないとか。Desireは本当に吸血鬼らしくない事を言うんだな」

「だって、幸せに過ごす筈だった二人が引き裂かれていくのを、見捨てる訳にはいかないよ」

「関係ねぇよ。所詮、吸血鬼は人を殺さなくても、命を戴かないと生きてけない生き物だ。記憶を忘れる事も出来ないまま、死ぬ事も出来ないよりはマシだと思うけどな」





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